mSpy(エムスパイ)は、監視アプリのなかでも特に知名度の高いサービスです。日本語の紹介記事も多く、「浮気調査に使える」という文脈で語られることがあります。
しかしmSpyには、過去3回にわたる大規模な情報漏洩という無視できない事実があります。この記事では、その経緯と法的リスクを整理します。
mSpyとは
iOS・Android両方に対応した監視アプリで、メッセージの閲覧、通話履歴、位置情報、SNSの利用状況などを遠隔から確認できるとされています。有料のサブスクリプション型で提供されています。
3度繰り返された情報漏洩
mSpyで最も重要な事実がこれです。2018年以降、少なくとも3回の情報漏洩が報じられています。
2024年6月に発覚した漏洩では、サポートチケットシステムが侵害され、約500万件のサポートチケットと大量のデータが流出したと報じられました。
流出したとされる情報
- 顧客の氏名・メールアドレス・住所・支払い情報
- mSpyのユーザー名とパスワード
- 秘密の暗号鍵——これを使えば第三者が監視対象端末の情報を追跡できるとされます
- Apple iCloudのユーザー名と認証トークン、iCloudバックアップファイル
- 監視されていた側のメールアドレスも一部含まれる
この漏洩が意味すること
ここが本質的な問題です。流出したのは監視されていた人の情報だけではありません。
アプリを購入して監視していた側の氏名・メールアドレス・支払い情報も流出しています。つまり「誰が、誰を監視しようとしていたか」が外部に知られうる状態になったということです。
こっそり相手を調べるつもりが、自分の行為が記録として外部に残る。しかも3回繰り返されているという点は、セキュリティ体制への評価として重く受け止めるべきでしょう。
無断インストールは犯罪になりうる
| 行為 | 抵触しうる法律・罪 |
|---|---|
| 相手のスマホに無断でインストール | 不正指令電磁的記録供用罪 |
| パスワードを推測してロック解除・ログイン | 不正アクセス禁止法違反 |
| 無断のGPS追跡 | ストーカー規制法違反のおそれ |
「夫婦だから」は理由になりません。違法に得た情報は離婚調停・慰謝料請求で証拠能力を否定されるおそれが強く、逆に損害賠償を請求されるリスクもあります。詳しくは浮気調査アプリの違法性の記事へ。
iPhoneとAndroidで事情が異なる
iOSは仕様が厳格で、無断で監視アプリを導入するにはApple IDとパスワードが必要になるなど、ハードルが高くなっています。その入手・利用自体が不正アクセス禁止法に触れるおそれがあります。
Androidは相対的に導入しやすいとされますが、無断インストールが犯罪になりうる点は変わりません。
浮気調査の手段として見た場合
法的リスクと情報漏洩リスクを別にしても、証拠としての価値には限界があります。慰謝料請求で必要なのは肉体関係の存在を推認させる客観的な証拠であり、違法に取得したメッセージは証拠能力を否定されるおそれがあります。
必要な証拠のレベルは不倫の慰謝料請求に必要な証拠の記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 有料サービスだから安全ではないのですか?
A. 料金を支払っていることと、事業者のセキュリティ体制は別問題です。mSpyの場合、有料顧客の情報が3度流出しています。
Q. すでに購入・インストールしてしまいました
A. アンインストールし、取得した情報を証拠として使わないことをおすすめします。また、登録に使ったメールアドレスやパスワードを他のサービスでも使っている場合は、変更を検討してください。
まとめ
mSpyは知名度の高い監視アプリですが、2018年以降3度の情報漏洩が報じられており、監視する側の個人情報も流出しています。
加えて他人の端末への無断インストールは犯罪に該当するおそれがあり、得られた情報も証拠として使えない可能性が高いものです。同種のアプリのリスクはCocospyの記事でも解説しています。
他のアプリとの比較は浮気調査アプリ一覧の記事にまとめています。
「結局どのアプリが一番いいのか」を検証した記事は「最強の浮気調査アプリ」は存在するのかの記事にまとめています。
※本記事にはプロモーションが含まれます。


